アルコール

2020.06.08 淺野祥孝

飲酒に関しては、タバコと異なり適量(日本酒で1日1合程度)であれば体にいいとされてきました。
この根拠になっているものの一つは、1981年イギリスのマーモット博士らが、飲酒量と死亡率との関係についての調査結果を発表したものです。
グラフにすると下記のようなJカーブとなります。

飲酒量と死亡率との関係

国税局ホームページより
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/sake/seminar/h21/220323.htm

少量の飲酒をしている人のほうが全く飲酒をしない人と比較して、死亡率が低くなっています。
これは、比較的長らく信じられてきました。
私も医学部で上記のように習いました。

ただ、最近の論文では異なった意見が出てきています。
Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016:
a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016.
THE LANCET, Vol.392, 1015-1035, 2018
に下記グラフがでています。

アルコール摂取量とそれぞれの病気になるリスクの関係

注:アルコール摂取量とそれぞれの病気になるリスクの関係。
横軸に飲酒量(1杯のワインやビール=純アルコール換算で10g)、
縦軸にそれぞれの病気になる相対リスクを表している。
GBD 2016 Alcohol Collaborators[2018].

男女とも虚血性心疾患(心筋梗塞等)と糖尿病にJカーブ(少量だとリスクが低い)がありますが、
女性の乳がん、男性の口唇・口腔がん、男女の結核は
飲酒量が増えれば増えるほどと危険性が比例して右肩上がりになります。(飲めば飲むほど危険)。

全てをまとめたグラフが下記です。
少量の飲酒に最適値のあるJカーブではなく、
飲めば飲むほどリスクが上昇する右肩上がりとなっています。

アルコール摂取量とアルコール関連の病気になるリスクの関係

注:アルコール摂取量とアルコール関連の病気になるリスクの関係。
横軸に飲酒量(1杯のワインやビール=純アルコール換算で10g)、
縦軸にあらゆる病気になる相対リスクを表している。
GBD 2016 Alcohol Collaborators[2018].

これをもとに今回の論文で筆者は、
アルコールは疾病、健康被害のリスクファクターであり、特に癌においては、
消費量が増えれば増えるほど危険度は増す。
健康被害を最小限にするためのアルコール摂取量は“少量”ではなく、
“ゼロ”であるとしています。

知識を改める必要がありそうです。

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