小児における高度な気道確保後の換気回数に関して
2020年の蘇生ガイドラインにおいては概ね大きな変更はありませんでしたが、高度な気道確保後の換気回数に関しては小児において、従来の6秒に1回程度の10回/分から2-3秒ごとに1回程度の20-30回/分に変更されました。
成人は従来の10回/分のままです。
低換気回数と比較しROSCおよび生存率の改善が得られるそうです。
中村先生が原文にあたってくれました。
Ventilation Rates and Pediatric In-Hospital Cardiac Arrest Survival Outcomes
Robert M. Sutton, MD et al.
Critical Care Medicine 2019; 47:1627-1636
2015年のガイドラインまでは、
「過換気が胸腔内圧上昇、静脈還流低下、血行動態悪化のリスクを高める。過換気の有害作用を避けつつCPR中の換気血流比が適切に保たれるような換気を行うには、年齢相応の分時換気量より少なめとすることが理にかなっている。」
とされてきました。
この論文によると、質の高いCPRが施行されている場合、心拍出量は思ったよりも維持されており、換気血流比を適性に保つためには、換気回数を上げたほうが良い可能性がある。
循環への影響を最小限(収縮期血圧のみ下がるが、拡張期血圧は変化しない)にしつつ、酸素化、換気の改善が得られ結果としてROSC率、生存率が上昇する。
また、元々小児は換気回数が多く、心停止は呼吸原性である可能性が高い。
そのため、心肺蘇生中に十分な酸素化と換気を回復させるために、より高い換気回数が必要となる場合がある。
そうです。
非常に勉強になりました。